平成30年(2018年)4月1日から介護サービスの基準である介護報酬の改定がされましたが、今年は他にも以下のように介護に関する変更があります。

【4月~】
長期にわたって療養するための医療と、日常生活を送る上での介護を一体的に受けられる施設“介護医療院”がつくられる。※現在ある「介護療養病床」については、いずれ廃止することとされています。

【8月~】
介護サービスの自己負担は1割(2割)でしたが一定の現役並み所得の方は3割負担となります。

【10月~】:福祉用具(介護ベッド・車いす・スロープ・ポータブルトイレなど)のレンタル料金は事業所ごとに違いがあり公表されていませんでしたが、国が商品ごとに平均額を公表することになり上限も決められることになった為、比較・検討をすることが出来るようになります。
※すでに4月からレンタル事業所は機能や価格帯の異なる複数の商品を提示・説明することになっています。

介護に関することは早めに家族で話合いをしましょう

現在ご家族の介護が必要ない方は先延ばしになりがちですが、ご家族で介護が必要になった時の為に話し合っておくことも大切です。GW・年末年始などに帰省なさる方はご実家の介護費用の準備状況やご希望も元気なうちに少しずつ確認していきましょう。

介護で必要になる費用について

有料老人ホームに入居したい場合の必要な費用は、入居時に必要な入居一時金と、入居後に毎月支払う月額利用料の2種類に分けられます。
費用も在宅の場合に比べて大きくなりますので希望の地域にどのような施設があり、どのようなサービスが受けられるのか等も含めて確認しておきましょう。
関連記事:介護にかかる費用はいくら?(https://ligare-fp.com/info/kaigohiyou20170809

介護で会社を休まなくてはいけなくなったら

実際に介護が必要になりお仕事を休む場合は雇用保険に加入している方は介護休業給付というものがあります。

一般的には介護などで会社を休んだ場合に給与の支給はされませんが、両親などを介護するために会社を休んだ場合、この介護休業給付を利用することで、給与の67%(3分の2)を最長で3ヶ月(93日)受けることができます。
※支給の申請は個人ではなく、事業主が行います。介護休業終了後に一括申請し、一括で受け取ります。

H29年1.1~給付金は賃金の40%から67%に増え、更に取得しやすくなりました。
介護休業の上限は同じ家族につき3ヶ月(93日)を最高3回まで支給されます。
※会社から介護休業中に給与が支払われている場合は、介護休業給付が減額されます。

介護休業給付について詳しくみてみましょう

<介護休業給付の条件>
雇用保険受給資格者
•過去2年間で1年以上雇用保険に加入している方(1ヶ月のうち11日以上出勤している必要あり。)
•介護休業開始において1年以上同じ事業主の下で働いている

<支給対象となる介護者>
・配偶者(事実婚含む)、父母、子、配偶者の父母
・祖父母、兄弟姉妹、孫(同居していて扶養している場合)
※今後見直し予定

<給付が受けられる状態>
負傷、疾病又は身体上もしくは精神上の障害により2週間以上にわたり常時介護(歩行、排泄、食事等の日常生活に必要な便宜を供与すること)を必要とする状態にある家族を介護するための休業の場合。
※公的介護保険の要介護2以上か所定の状態が継続すると認められた場合。
※休みを取る期間は2週間以上でなくても可

<給付額>
原則として介護休業開始前賃金の67%です。
具体的には介護休業開始前6ヶ月の賃金を180で除した額。

給与状況 計算式
①給与なし・給与13%以下 介護休業開始前6か月の給与÷180日×30日×0.67
②給与13%超80%未満 介護休業開始前6か月の給与÷180日×30日×0.8-給与
③給与80%以上 支給なし

※介護休業給付の上限額:329,841円・下限額:49,647円(毎年8月に1日に変更)

<①の場合の支給額の目安>

平均賃金 給付額の目安(月額)
15万 10万程度
20万 13.4万程度
30万 20.1万程度

介護休業給付の期間を支給対象期間と言いますが、支給対象期間を1ヶ月ごとに区切ったものを支給単位期間といいます。
(例)4月25日から7月15日まで介護休業した場合:支給対象期間:4/25~7/15

<介護休業給付中に給与が支払われた場合>
介護休業給付は介護休業中に給与の代わりに支給されるものです。
給与を受けとっていた場合は、額によっては減額・支給なしとなります。

<申請期間>
介護休業の終了日の翌日から起算して2ヶ月を経過する日の属する月の末日まで
(事業主が申請)

<注意点>
・退職を前提に介護休業を取る場合は支給対象外となります。
・同じ期間に複数人の介護休業を取る場合でも介護給付は重複して支給されるわけではありません。
・育児休業のような免除制度がありませんので厚生年金保険料、健康保険料、住民税は支払う必要があります(所得税と雇用保険料は給与が支払われていなければ徴収されません。)
※一般的には給与から控除できないため、復帰後に精算すると思われます。
給与が支払われていない場合は、所得税、雇用保険料の負担はありません。
・介護休業開始日より1ヶ月の間(支給単位期間)に11日以上出勤した場合、介護休業給付は支給されませんが、それ以降については要件を満たす場合は支給されます。
・支給単位期間の途中で離職した場合、最後の支給単位期間は支給を受けることができません。

介護が必要にならないように日ごろから予防しておくことも大切ですが制度も知らないといざという時に慌ててしまいます。
特に家族への介護費用の援助が必要と予想できる場合は今後のライフイベントや費用のかかる時期もしっかり確認して“できる範囲”をしっかり確認して準備をしておきましょう。