2019年から大きく変わる『相続法』知っておきたいポイントをFPが教えます!

今年もあっという間に後半がスタートしましたね。梅雨シーズンで毎日気温差もありますので体調に気を付けてお過ごしください。

今年度は食品や日用品の値上げ・働き方改革の残業規制・消費税10%など色々な家計の変化もありますが、相続についても40年ぶりに大きく変更になる年となっていますので、変更になる制度のうち2つをご紹介したいと思います。

相続はまだ先のこと、財産は多くないから大丈夫と考えられる方もいらっしゃいますが、相続の準備が出来る期間はご本人に意志判断能力がある期間のみとなりますし、財産が少ない場合でも財産の割合が不動産の様に分けづらい・お金に換えづらい財産が多い場合なども家族がもめてしまう原因となります。早めに対策が必要になる方もいらっしゃいますのでしっかり確認をしておきましょう。

まずは相続の基本用語から抑えよう!

相続の話でよく出てくる用語の意味は下記の通りになります。

〇被相続人:亡くなられた方のこと
〇相続人:財産を引き継ぐ家族のこと
〇遺産分割協議:相続財産の分け方を決める話合い

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自筆遺言書の方式が緩和されます

自分が亡くなった時に残された家族がもめない様に家族に対して自分の意志を形として残しておくものとして遺言があります。

<遺言の種類は3種類>

種類 ①自筆証書遺言
  ※1/13~改正
②公正証書遺言 ③秘密証書遺言
作成方法 本人が遺言の全文・氏名・日付を書きハンコを押す 本人が公証人に遺言の趣旨を伝え公証人が筆記して作成する 本人が遺言を書き封印をして公証人などに提出
証人 不要 証人2名以上 公証人1人・ 証人2名以上
書名・捺印 本人 本人・公証人・証人 本人・公証人・証人
検認 必要 不要 必要
長所 ・費用が掛からない
・いつでも作成できる
・内容を秘密にできる
・紛失や改ざんの心配がない
・病気などで字が書けなくても大丈夫
・様式の不備が発生しないので安心
・遺言の効力をめぐる争いにならない
・検認がいらないので時間がかからない
・改ざんの心配がない
・内容を秘密にできる
短所 ・紛失や改ざんの心配がある
・様式に不備があった場合遺言が無効になる場合もある
・見つけられない場合がある
・検認手続きが必要で時間がかかる
・費用が掛かる
・手続きが面倒
・内容を秘密にできない
・手続きが面倒
・様式に不備があった場合遺言が無効になる場合もある
・検認手続きが必要で時間がかかる

※検認(裁判所で開封):遺言書の偽造・変造を防止するための手続き

自筆証書遺言の作成方法が簡単に(2019.1.13~)

2019.01.12までは上記の表の①の自筆証書遺言は添付する財産目録も含めて全文を自分で手書きをして作成する必要がありました。
財産の詳細まで手書きで書くには負担がかかっていたので、2019.01.13から添付書類の「財産目録」については下記の方法でも可能となりました。

・パソコン等で作成した目録を添付する
・銀行通帳のコピーや不動産の登記事項証明書等を目録として添付する
※財産目録の各ページに署名・押印が必要

自筆遺言証書の保管制度新設(2020.7.10~)

2018年7月6日に“法務局における遺言書の保管等に関する法律”が成立した為、2020.7.10以降に申請をすれば法務局で遺言書を保管してくれる制度ができました。

<変更点>
・遺言書を失くしたり、隠されたり、本物か偽物なのか等の争い等を防止することができる為、保管された自筆証書遺言の場合は検認手続きが不要となります。

・相続人等は遺言者の死亡後に法務局に対し遺言書の有無の問い合わせや遺言書の写し等の請求をすることが可能になります。

口座凍結後の預貯金の払戻しの制度が変更に(2019.7.1~)

2019.6.30までは亡くなった方の口座は相続人間のトラブル防止のため遺産分割協議(遺産をどう分けるかの話し合い)が終わるまでは口座が凍結され、葬儀費用の支払等でお金が必要な場合でも基本的には亡くなった方の預貯金の払戻しはできませんでした。

基本的にとお伝えした理由は金融機関によっては葬儀代の一定額まで可能なケースがあったり、家庭裁判所に「保全処分」という手続きを申請し、要件を満たせば預金の払い戻しを受けることができたためです。
※家庭裁判所の手続きの要件は“急迫の危険を防止するために必要があるときだけ”と厳しくなっていた為にほとんど利用されていませんでした。

それが2019.07.01からは、下記2つの方法で預貯金の払戻しが可能となっています。

①金融機関で直接手続き(新しくできた制度

※手間はかからないけど金額の上限がある方法

各相続人は遺産分割が終わる前でも一定の範囲内で預貯金の払戻しを受けることができるようになりました。
ただし、払戻をしたい相続人(相続する権利のある家族)が下記のことを金融機関の窓口で提示する必要があります

・亡くなった方の相続人であること(戸籍の取得が必要)
・自分の相続分の割合

(口座ごとの仮払いできる額)
相続開始時の預貯金の残高×1/3×仮払いしたい人の法律で決められた相続分(下記の表)
※ただし1つの金融機関ごとに150万が上限
※家庭裁判所の判断も、他の相続人の同意がなくても単独で払戻しができます。

<相続人になれる人と法律で決められている相続分>

相続人の順位 相続人の相続割合 配偶者の相続割合
第一順位 子(孫)1/2 配偶者 1/2
第二順位 父母(祖父母)1/3 配偶者 2/3
第三順位 兄弟姉妹 1/4 配偶者 3/4

※配偶者は常に相続人になります。
※相続人が複数いる場合にはその人数で均等に分けます。

②家庭裁判所での手続き(要件が簡単になった)

※手間はかかるけど金額の上限がない方法

要件が緩和され、預貯金が必要であるという明確な理由があるときには払い戻しが認められるようになりました。

※預貯金の仮払いを受けた方は①・②どちらの方法でも相続分が確定した際に仮払いされた(前もって受け取った)分の財産が引かれることになります。 

他にも色々と相続の変更がありましたがまたの機会にご説明したいと思います。

何度も経験する事ではないので相続の対策を検討するのも大変ですが、相続財産の内容を把握しないと今後必要な対策も見えてきませんし、家族が無理に相続の対策をしようと思っても財産を持っている本人が必要性を感じていなければ家族でもめるきっかけになってしまいます。

まずは帰省等で家族が集まった際に老後の生活が大丈夫なのか?介護が必要になっても大丈夫なのか?等を確認しながら相続の事を考えるきっかけにしてはいかがでしょうか?

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